江戸時代の小判のうち、裏面に草書体の「文」の字があることで知られる「文政小判(金)」。
ここでは相場(価値・価格評価)/鋳造された時代/重さと大きさ/素材(含有量・品位)/特徴・鑑定ポイントをできる限り正確にまとめます。

終わりに売却や鑑定時の注意点とまとめを載せます。
文政小判の相場(価値・価格の評価)はどのくらい?
文政小判の市場価値(買取相場・流通価格)は、状態(擦れ・欠け・打ち傷)、極印や銘文の有無(「大吉」「小吉」などの希少印)、保存状態、そして市場の金相場やコレクター需要によって大きく変動します。
一般的な買取店や古銭専門店の情報を総合すると、概ね数万円〜数十万円、良品や希少印有りで十万円台〜数十万円台、特に良好なものや希少な刻印があればさらに高額、というレンジが見られます。具体的な例や相場の目安は下記の通りです。
- 買取実績・販売例でのレンジ:10万円〜90万円程度と紹介している情報があります(状態や希少性に依存)。
- 業者の買取実績例:美品の買取実績で18万円程度といった例が見られます(事例に依存)。
- 店頭販売やコインショップの提示価格は、保存状態が良ければ数十万円、標準的な状態なら下限に近い価格帯、というのが一般的です。
文政小判が作られた時代は?(鋳造期間と背景)

文政小判は文政2年(1819年)から文政11年(1828年)の期間に鋳造・流通した小判(金貨)です。
裏面に打たれた「文」の字が草書体であることから「草文小判」「新文字小判」とも呼ばれます。文政期は江戸時代中期〜後期にあたり、幕府の財政事情や貨幣改鋳の一環として品位(含有金率)や量目が調整された時期でした。
背景としては、幕府の財政再建や流通実務上の都合から、従来の小判に比べて金の含有率を下げた改鋳が行われた経緯があり、これが文政小判の特徴(後述)にもつながっています。

複数の資料でも「財政事情のための改鋳」が指摘されています。
文政小判の重さと大きさ
複数の資料に基づくと、文政小判の代表的な量目(重さ)は約13.07g(およそ13.1g)と報告されています。
寸法(縦・横)は制作により多少ばらつきがありますが、資料にはおおむね縦約60.5mm×横約32mm程度といった数値が記載されています。
ただし、当時の鋳造は手作業・吹替え(鋳型・打刻の差)などにより個体差があるため、「およその標準値」として理解してください。

市場に出回る個体はこれより軽い・重いこともあります。
文政小判の素材・材質・含有量(品位)
文政小判の品位(含有金率)については、多くの資料が金:559(約55.9%)/銀:441(約44.1%)=量目13.07gという数値を示しています。
つまり純金ではなく、金と銀の合金(いわゆる金銀混合比)で作られています。
文政小判の特徴・ポイント(鑑定で見る点)
- 裏面の「文」字が草書体であること: これが文政小判(草文小判)を特徴づける最も基本的な識別点です。真書体(楷書)で打たれる元文小判とはここで区別できます。
- 額面の刻印や後藤家の花押: 表面には「壹兩(壱両)」などの表示や、後藤光次の花押(後藤家が鋳貨を管理)が見られます。これらの刻印の状態が良いほどコレクター価値が高まりやすいです。
- 「大吉」「小吉」などの極印: 裏面の極印位置や文字・印の種類によって希少性が変わり、特定の極印がある個体はプレミアムが付くことがあります。業者記事でも「大吉」や「小吉」極印があるものは希少価値が高いとされています。
- 状態(保存状態=コンディション): 擦れ・欠け・打刻の不鮮明さ・変形などは価格に大きく影響します。美品であれば相場の上限に近づき、摩耗の激しい個体は下限になります。
- 偽造品の見分け: 人気があるため模造(偽物)もあります。金属の組成(含有比)や重量、刻印の打ち方、縁の仕上げ(鋳造痕)などを専門家に見てもらうのが確実です。鑑定書や信頼できる古銭商での査定を推奨します。
まとめ(売る前・保管時のアドバイス)
文政小判は歴史的魅力とバリエーション(刻印・極印・状態)によって価格が大きく変わる古銭です。ポイントをまとめると:
- 鋳造時期:文政2年(1819年)~文政11年(1828年)。裏面の「文」が草書体であれば文政小判(草文小判)。
- 標準的な重さ:おおむね約13.07g(約13.1g)。寸法はおおよそ縦60.5×横32mm前後が目安。
- 品位(含有量):金559(約55.9%)/銀441(約44.1%)程度と報告されており、元文小判などに比べ金含有率が低め。
- 相場:状態や希少印で幅が大きく変動。公開情報では目安として数万円〜数十万円、良品や希少印なら十万円台~数十万円台という例が多く見られます(あくまで目安)。
最終的な売却や正確な評価を希望される場合は、信頼できる古銭商・鑑定士に現物を見せることを強くお勧めします。

ネット上の相場は参考になりますが、個体差(摩耗・修整・極印の有無)で査定額は大きく変わります。
最後に:もし手元に文政小判があるなら
・まずは現状の写真(表・裏・縁)を控えておく。
・直接触る際は素手より手袋を使い、過度な磨きや洗浄は行わない(価値を下げる恐れがあります)。
・複数の買取業者やオークションの最近の落札例で相場を比較する。可能なら鑑定証つきで取引する。


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